実は彼らは彼女だけを覚えていました【33話】ネタバレと感想!

この記事では『実は彼らは彼女だけを覚えていました』33ネタバレ感想をお伝えしていきます。

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ネタバレはしてほしくない!という方はご覧にならないでくださいね。

戦争に参加したデイル

デイルは幼い頃から父親に憧れ、父のようになりたいとずっと思い続けていました。

彼の父は幼い彼にいつもこう言っていました。

彼の美しい力は彼だけのものでなく、それを周りに分け与えることを惜しんではいけない、と。

そして、デイルの存在そのものが、神が人間を愛する証拠なのだ、とも言うのでした。

デイルは父親が亡くなった時も、棺の前で涙を流すことはありませんでした。

なぜなら、デイルの父親は死を前にして涙を流すような人ではなく、真の意味で哀悼することが彼の遺志だと思っていたからです。

デイルは病を患う人々のために神聖力を行使し、毎晩過去の司祭たちが残した祈祷文を書き写し勉強してきました。

彼は常に公正であり続け、いつだって慈愛に満ちた笑顔を浮かべていました。

それゆえ、彼はいつしか神殿の真の未来だと人々に賞賛されるようになったのでした。

わん
生まれた時から「司祭デイル」の運命を背負い、その名にふさわしい人間になろうと努力してきた彼ですが、そんな生活が息苦しくは無かったのでしょうか。

そうしてデイルが成人した年、戦争が勃発しました。

彼は戦場に自ら足を運ぼうとしましたが、神官たちは猛反対します。

なぜなら、彼にはまだ一人の後継者もいなかったからです。

しかし彼は、代々続く「デイル」という名を名乗っている以上、安全な場所で一人祈りを捧げるのではなく、

時には残酷な場に立って弱者に直接手を差し伸べるべきだ、と主張しました。

そうして戦場にやって来たデイルは、日々早く平和が来ることを祈り続けましたが、

そんなある時クラレンスと出会い、自分の覚悟がどれほど甘いものであったのかを思い知らされたのです。

にゃあ
クラレンスは弟を養うためという理由で、戦争で罪のない人々を大勢殺してきました。その矛盾で苦しむ彼女を見て、デイルにも思うところがあったようですね。

哀れな収集家からの手紙

一方、本屋では、ボスが手紙を読んで何やら怒っている様子です。

この面倒な年寄りめ、と悪態を吐く彼女に驚いたクラレンスは、何があったのかと尋ねます。

ボス曰く、リスが木の実を集めるかのように本を収集するおじいさんがおり、

自分では読めもしないような本をただ貴重だからという理由で夢中で買い集めているのだとか。

かなりの資産があるその老人ですが、収集ごときで大金を湯水のように使っていることを注意されると妬みだと思い込み、

耳が痛いようなことは言わない人間ばかりと付き合うようになったために、次第に孤立してしまったのだそうです。

そのうち、褒め言葉ですら自分の本を狙っているように思えてきたその老人は、遂に実の息子のことも疑い始め、

自分ごと書斎に厳重に鍵をかけて、本と一緒に閉じ込めてしまったのです。

そうして書斎の中で眠れない毎日を過ごす老人は、最近では誰かが自分を殺そうとしている、という妄想すら抱くようになってしまいました。

クラレンスはその老人を哀れに感じます。

ボスも散々悪態を吐いておきながら、表情からは老人を心配している様子が伺えました。

わん
最初は軽い趣味だったのでしょうが、孤独が老人を余計に追い詰めてしまったのでしょうか。可哀そうな人ですが、どうやって手を差し伸べたらいいのかも分かりません。

クラレンスはボスに彼の元を訪ねてみては、と提案しますが、ボスは忙しいのにこんな贅沢者の相手をしている暇はない、と一蹴します。

しかし、この日は小説一冊しか売れていないように、実際は忙しいどころか閑古鳥が鳴いている状況でした。

クラレンスに反論されたボスはぶつくさ言いながらも店を閉め、クラレンスとともに老人の元へと向かうのでした。

籠城した老人の屋敷に突撃!

クラレンスは他人である自分が同行することを心配しますが、

老人は知っている人でさえ拒絶するので他人であろうと関係ない、とボスは答えます。

老人の屋敷に着いた一行は、手入れもされず放置されジャングルのように生い茂った庭を見て唖然とします。

にゃあ
まるで老人の心の中を表しているようですね。結局、趣味のはずの収集で苦しむなんて、本末転倒です。

ボスが扉を勢いよく叩くと、奥から誰かが慌ててやってくる音が聞こえました。

彼女はクラレンスに、老人が反抗すれば力づくで止めるんだ、と小声で警告しました。

すると扉が開き、毛布を頭まで被った老人が隙間から2人を怪訝そうに見つめました。

彼はボス以外にクラレンスが来ていることに驚いたようでした。

するとボスはクラレンスに、扉を押さえておくように言います。

騎士モードがオンになったクラレンスは、力づくで扉をこじ開けました。

玄関に倒れこんだハンフリーという名の老人を、ボスは鋭い視線で睨みながら、

手荒な真似で申し訳ないが揉めている暇はない、と言い放ちました。

さらに、クラレンスは信頼できる店員だから、彼女が老人の背中を踏みつける前に中に案内しろ、

と恐ろしい口調でハンフリーを急かすのでした。

『実は彼らは彼女だけを覚えていました』33話の感想・考察

司祭としての運命を背負い、父親の教えに忠実に生きて来たデイル。

彼は自分の運命を受け入れ、誠実に、そして純粋に司祭としての責務を果たそうとしてきました。

しかし、神殿の中で育った「お坊ちゃま」である彼は、どこかで戦争を甘く考えていたようです。

戦争の罪と一人向き合い、全てを背負って生きているクラレンスを見てきっと衝撃を受けたのでしょうね。

彼にとっては、新しい世界を教えてくれた存在であるクラレンスがとても大切な人なのでしょう。

また、いつもぶっきらぼうだけれど、心根は優しいボスは、哀れな独居老人に文句を言いながらも心配している様子です。

老人に会ったことすらないクラレンスも彼を心配し、わざわざ一緒に屋敷まで尋ねるなんて、本当に世話焼きですね。

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